俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「いいだろう。羨ましいか?」

「べっつにー」

あからさまに「別に」なんて思っていない顔で不機嫌に言って、くるりと踵を返す。
スタスタと自宅に向かう彼女を追いかけて、その背中に声を掛けた。

「お前は俺にくれないのか?」

「それだけあれば十分でしょう」

「俺はお前にあげたよな」

莉依の足がぴたっと止まった。
彼女の誕生日は夏。俺は買い物に付き合って、その帰り道、食事をご馳走してやったのだが――

「……なにが欲しいのよ」

振り返った彼女の顔は、目が座っていて、おねだり以前の問題だった。
ほしいものなど特にないが、強いて言えば、笑顔――なんて言ったら「気持ち悪い」と一蹴されそうだ。

というか、そもそも本当に俺へのプレゼントをなにも用意していないのか?
自分が誕生日にもらったら、返そうと思うだろう普通。
ちょっとだけ期待してしまっていたガラスのハートにヒビが入る。

「じゃあ、俺の宿題、代わりにやれよ」

取り敢えず、今日という日をともに過ごせる口実だけいただこうか。
一緒にいられるだけでいい、そう考える俺は、自分で言うのもなんだが結構健気な男なのだ。

「なに言ってんの? 大河の学校の方がレべル上でしょ? 私がやっても恥かくだけだよ」

正直言って、俺の方が学力が高い。宿題なんざ、自分でやった方が手っ取り早い。
が、そういう問題じゃねぇんだよこの鈍感。
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