俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
やっと平静を取り戻して勉強を始めた頃。

玄関の鍵を開ける音がして、次いでドアが開かれた。
どうやら大河が帰ってきたみたいだ。わずかに緊張して、姿勢をピンと正す。
足音がリビングまでやってきて、部屋に入ってきたところを見計らって私は振り返った。

「おかえり――」

けれど。
リビングに入ってきたのは大河ではなく、見たこともない女性で。
私の頭は完全にフリーズしてしまった。

肩で切り揃えられたストレートの黒髪に、切れ長の瞳。
真っ白な肌に薄く朱い紅を引いた、知性的な印象の美女だった。
背は高く、白いストレートパンツに収めた足はシュッと細く美しいシルエットを描き出している。

「あなた、誰?」

女性にしては低めの声、年はおそらくだけれど、私の上。
有無を言わさぬ厳しい口調で私を見下してきた。

「え、あ……あの……」

誰かと聞きたいのはこちらのほうだ。突然入ってくるってことは、ご家族? でも、大河にお姉さんなんていなかったような。
しどろもどろになりながらも、私は咄嗟に立ち上がった。

「大河の友人の、天宮莉依と申します。あの、あなたは……」

「大河はどこ?」

こちらの素性を聞いたくせに、たいして興味なんかなさそうで、その上、名乗ってもくれなくて、その勢いに気圧されてしまう。
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