俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
大河に、こんなにも冷たくあしらわれるとは思わなかった。
これほどまでに非情な一面を見せられることになるとは――。

エレベータホールに差しかかったとき。
恭子さんが背中を向けたまま、ぽつりと呟いた。

「気にしないことね」

「え……?」

突然話を振られたものだから、驚いて聞き返してしまった。

「驚いたんでしょう? 社長の態度。誰にでもああだから」

恭子さんはやってきたエレベータに乗り込みパネルを操作しながら、淡々と続ける。

「特に、新人には冷たいの。結果を出す前に俺に意見するな、って。でも仕方ないのよ。そうでもしないと、彼の周りは敵だらけだから、なめられてしまうのよね」

目を細くしたまま恭子さんは「これはオフレコよ」なんて言って唇に人差し指を当てる。

「彼、若い上に二世でしょ? 仕事で成果を挙げて上り詰めてきた役員からしたら面白くないのよ。少しでも弱点を見せれば叩かれる。だからああやって、他を寄せつけない社長を演じることで、自分を守っているんだと思うの」

口にした恭子さんの表情は重く暗い。大河のことを心配しているのだとわかった。
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