俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「じゃあ、ひとつだけいいことを教えてあげる」

そう言って、恭子さんは私の席にあるパソコンの電源を入れた。
慣れた操作でエクスプローラを立ち上げディレクトリを指定すると、社内サーバーの一覧が表示された。
そこからひとつを選択し、『管理』、『懸案事項』と階層を下っていくと、やがて『調査資料』という名前のフォルダに到達した。

「ここに過去の調査結果が全部揃っているわ。これを見れば、大河がどんな資料を求めて指示を出したのかがわかる」

画面を指先で触れながら、恭子さんは私に大まかな資料の見方を説明してくれた。

大河からは、たしか第一総和物産との提携について資料を作成しろ、と指示が出ていたはずだ。
フォルダの中には、過去の提携先について調べた調査資料がたくさん転がっていたから、これを真似して作れば形になりそうだ。

「私の言いたいこと、伝わったかしら?」

「……はい」

つまり、このテンプレートをもとに、資料を自分で作ってみろ、ということだろう。
調査や資料作りなら、前職で企画部に勤めていたときに山のようにこなしていたから、経験が生かせそうだ。

「教えてくださってありがとうございます」

「勘違いしないで。私は、早くあなたにドロップアウトしてほしいだけだから」

ふん、と鼻を鳴らして、恭子さんは足早に立ち去ってしまった。

ひとり残ってしまった秘書課で、私はひたすら過去の資料を参照して、大河が納得してくれるような調査資料作りを始めた。
< 91 / 173 >

この作品をシェア

pagetop