俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「このテンプレートは、どこから」

「恭子さ――田上さんに過去の資料の場所を教えていただいて、そこから拝借しました」

「……内容はいま一歩届かず、といったところでしょうか。このまま提出しても、社長の機嫌を損ねるだけでしょう」

「そうですか……」

「まぁ、やる気だけは伝わりましたが」

はっとして顔を上げると、今までずっと一文字に引き結んでいた篠原さんの口もとが柔らかくなっていた。
鉄扉面を貫いてきた彼の、この表情は……。

……もしかして、笑ってるの?

「観点はずれていませんので、プラスアルファで立派な資料を作りあげることができるでしょう。調査の仕方、まとめ方にはコツがありますから、それさえ掴めばいずれあなたも社長を唸らせる資料が作れるようになるはずです」

姿勢を戻して直立した篠原さんは、眼鏡のフレームを押し上げながらふっと息をつく。

「ここまで前段を作ってもらえれば十分です。あとは私がやりますので」

「……あの」

少しだけ機嫌がよくなった篠原さんに期待して、私は恐る恐る切り出した。
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