優等生、中川君。
「えっ」
中川君と、あたしとの顔の距離
半径10cm。
「…………」
「……な、中川君」
「……ん?」
途端、中川君の顔は、左にそれた。
「…え」
「どしたの」
中川君の手を見ると、さっきの本とはまた、別の本が握られていた。
「いや、なんでも」
キスでもしてくるのかと思った。
こんな事言ったら、呆れられるだろうか。
「………」
中川君は、ジッとあたしを見る。
「…ど、どしたの…?」
あたしが問い掛けると、中川君は、くすっと笑って言った。
「…キス、してほしかった?」
あたしの顔、きっと今38度を越しています。