chocolate mint
一瞬だけ合った視線をふっと逸らして、香織ちゃんは俯いた。


「……だって、まだ仕事残ってたんでしょ?接客の途中で抜けて来たんだよね?やっぱり、私のせいじゃない」


温度の感じられない声。


だけど、声に比べて目は冷たい光を放っていなかった。



……もしかしたら、昨日もこんな感じだったのかもしれない。



ドア越しに聞いた、僕を拒絶するような冷たい声。



それは決して不機嫌だった訳じゃ無くて……


ただ恥ずかしかっただけで……


僕と同じで、どんな顔をして会ったらいいのかって悩んでいただけで……


……そのうち、自分でもどうしていいのか分からなくなってしまっただけだったとしたら。




ーだってほら、その証拠に冷たい声と違って、必死に感情を顔に出さないようにはしているけど、香織ちゃんの目は今にも泣き出しそうなほどに潤んで困っているように見える。


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