紳士的上司は愛を紡ぐ


───「それではお聴きください、どうぞ。」

曲紹介をして、一旦裏へ下がる。
基本的に、涼子と交互に曲紹介をする為、
バトンタッチをしようと彼女の背後から声を掛ける。

「島崎アナ、
次の曲紹介お願いしま、…… ………っ!」

声を発したと同時、
目の前にいる彼女の足元がふらつく。


咄嗟にその身体を受け止め、

「涼子っ!?」

と、無意識の内に声を上げていた。

その声に気付いたのか、近くに控えるスタッフさん達が即座に駆け寄る。

「島崎アナの体調が悪いみたいです。
救護お願いします……!!」

「………麻里、ごめん、大丈夫。
ちょっとふらついただけで……。」

彼女は申し訳無さげに立とうとするが、その肩は未だに震えている。

< 102 / 143 >

この作品をシェア

pagetop