ハニートラップにご用心

「ふーん、何色にすんの?」


スーツに合わせやすい色……。

土田さんは濃いグレー系のスーツを着ていることが多いから、ブルー系がいいかな。

最終的に私が選んだのは、スカイブルーより少し青みが薄く、乳白色の強いトパーズが埋め込まれたネクタイピンだった。

綺麗に箱に収めてラッピングしてもらったそれを大事にカバンにしまって、私は駅の前で柊さんに何度も頭を下げた。


「今日は本当にありがとうございました。食事まで……」


思っていたより早く終わったプレゼント選びのあと、柊さんに連れて行かれた少しだけ高めのイタリアンレストランでご飯を食べたのだが、私が財布を取り出した時にはもう支払いが済んでいたらしい。

自分の分くらいは払う、と粘ったが柊さんは頑なに受け取ろうとせずしまいにはポケットに両手を突っ込んでスタスタと歩き出した。

会話も少なく駅まで送ってもらい、解散の挨拶をして顔を上げるとひやりと首筋に冷たい感触がした。


「はい、これ。欲しかったんでしょ?」


そう言って視線を胸元にやると、最後に寄ったジュエリーショップで私が熱視線を送っていたネックレスだった。


「え……!?」

「あげる。可愛いね、これ」


柊さんの指先に絡みつくチェーンがするすると解けて、私の首元から落ちていく。重力に従って地面に落ちていこうとするそれを慌てて両手を出して受け止めた。


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