悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
山の岩肌が丸く落ち窪んだような空間は、民家が五棟ほど入りそうな広さで、そこは緑が溢れ、色彩豊かな野の花が咲き乱れていた。
六階建て相当の高さのある絶壁からは、水が流れ落ちて小さな滝となり、舞い上がる水飛沫に虹ができていた。
小川は野原をまっすぐに流れて、行き止まると岩の隙間へと消えるように吸い込まれている。
野原の奥にはこじんまりとした平屋の建物が見える。
白塗りの壁に蔦が這い、赤瓦の三角屋根が可愛らしい。
その周囲にはリンゴや胡桃の木が植えられていた。
小鳥のさえずる声が聞こえ、花畑の中にピョンと跳ねた白い影はウサギのようだ。
まるで童話の挿絵のような景色が目の前にあり、その完結された美しさに、私は静かに感動していた。
「ここは楽園かしら……」と呟けば、隣で彼が「違うよ」と否定する。
「ここは自然の地形を利用して、百年ほど前に作られたそうだよ。城が攻め込まれた際に、王族が身を潜めるためにね。楽園とはほど遠い意味を持った場所なんだ」
静かな声でそう言った彼に振り向けば、なぜだろう。微笑んでいるはずの瞳が悲しげに見えた。
有事の際に逃げる自分を想像しているからなのかと思いつつ、端正な横顔を見つめていたら、視線が合う。
六階建て相当の高さのある絶壁からは、水が流れ落ちて小さな滝となり、舞い上がる水飛沫に虹ができていた。
小川は野原をまっすぐに流れて、行き止まると岩の隙間へと消えるように吸い込まれている。
野原の奥にはこじんまりとした平屋の建物が見える。
白塗りの壁に蔦が這い、赤瓦の三角屋根が可愛らしい。
その周囲にはリンゴや胡桃の木が植えられていた。
小鳥のさえずる声が聞こえ、花畑の中にピョンと跳ねた白い影はウサギのようだ。
まるで童話の挿絵のような景色が目の前にあり、その完結された美しさに、私は静かに感動していた。
「ここは楽園かしら……」と呟けば、隣で彼が「違うよ」と否定する。
「ここは自然の地形を利用して、百年ほど前に作られたそうだよ。城が攻め込まれた際に、王族が身を潜めるためにね。楽園とはほど遠い意味を持った場所なんだ」
静かな声でそう言った彼に振り向けば、なぜだろう。微笑んでいるはずの瞳が悲しげに見えた。
有事の際に逃げる自分を想像しているからなのかと思いつつ、端正な横顔を見つめていたら、視線が合う。