悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私に会話を誘導され、侍女たちの前で自らの非道な行いを打ち明けてしまった王女は今、ハッと我に返った様子。

一歩後ずさり、恐る恐る周囲を確認して、侍女たちの非難の視線を浴びていることに気づいたようだ。


「なぜそのようなひどいことを?」と王女付きの侍女が横から悲しげに問いかけ、斜め後ろに立つバッカス夫人にはため息をつかれている。


「ルアンナ様、このことは王妃殿下にご報告しなければなりません」

「え……バッカス夫人、それはお待ちになって!ほんの出来心なのよ。ごめんなさい。謝るからどうか、お母様には言いつけないで」


私への嫌味は日常的なバッカス夫人でも、器物破損はやり過ぎに思うようだ。

王妃に娘を叱ってもらおうとしているところを見れば、その考え方は意地悪な性分の王妃とて同じなのだろう。

慌てて振り向いて謝罪した王女に、バッカス夫人は諭すように言った。


「ルアンナ様、お謝りになる相手は私ではありませんよ。オリビアさんに謝罪して、しっかりと反省なさってください。お嫁入り先でそのようなことをされては、王家の名に傷がついてしまいます」

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