悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
反撃の好機が訪れたと感じた私は、作り笑顔を浮かべ、フリント伯爵夫人に説明した。
「そうですの。わたくしたちは今、この像が少しおかしいのではないかしら?と話していたところなんです」
五人に口撃されたきっかけは、私がしゃがみ込んで像を見上げていたことだ。
そのようなことをしたのは、この像の体のバランスを不思議に思ったからだった。
実際の人間より、頭や上半身が大きめで、下半身は小さい。
それは作家のミスではなく、像の設置者の無理解が原因であることに私は気づいた。
台座が低すぎるのだ。この像の台座は、私の顎下くらいの高さのものが適切だろう。
下から見上げれば、像の体のバランスはちょうどよく感じられた。
作家は鑑賞する人の視線の高さも考慮した上で、この像を製作したに違いない。
それをフリント伯爵夫人に説明していると、横から突然、画廊商の老婦人に手を握られた。
「素晴らしいお気づきです! 評論家を名乗る私より、あなた様の鑑識眼の方が優れているようです。さすがは名門、オルドリッジ公爵家の御令嬢。ぜひとも次の芸術学会にご出席いただきたくーー」
専門家の集まりで意見を述べられるほどの知識はないので、それは遠慮したいと思いながら、興奮気味の老婦人の賛辞を受け止めていた。
「そうですの。わたくしたちは今、この像が少しおかしいのではないかしら?と話していたところなんです」
五人に口撃されたきっかけは、私がしゃがみ込んで像を見上げていたことだ。
そのようなことをしたのは、この像の体のバランスを不思議に思ったからだった。
実際の人間より、頭や上半身が大きめで、下半身は小さい。
それは作家のミスではなく、像の設置者の無理解が原因であることに私は気づいた。
台座が低すぎるのだ。この像の台座は、私の顎下くらいの高さのものが適切だろう。
下から見上げれば、像の体のバランスはちょうどよく感じられた。
作家は鑑賞する人の視線の高さも考慮した上で、この像を製作したに違いない。
それをフリント伯爵夫人に説明していると、横から突然、画廊商の老婦人に手を握られた。
「素晴らしいお気づきです! 評論家を名乗る私より、あなた様の鑑識眼の方が優れているようです。さすがは名門、オルドリッジ公爵家の御令嬢。ぜひとも次の芸術学会にご出席いただきたくーー」
専門家の集まりで意見を述べられるほどの知識はないので、それは遠慮したいと思いながら、興奮気味の老婦人の賛辞を受け止めていた。