悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
父の後について室内に足を踏み入れたら、実家にある父の執務室と似たような作りの空間が広がっていた。
中央には木目の美しい大きな机が置かれ、壁には書架が並ぶ。
奥には休息のためのテーブルセットが配されて、機能的で上品なしつらえの部屋だった。
父は私を一人掛けの肘掛け椅子に座らせると、「暑いな」と窓を開けにいき、それから私の向かいの長椅子に腰掛けた。
そして早速、本題に入る。
「王太子に気に入られろと言っただろ。乗り気じゃない顔に見えるのは、気のせいか?」
王妃には『なにを考えているのかわからない娘』だと言われ、滅多に感情を表に出すことのない私なのに、父には心の中を読まれているような気がしてならない。
『乗り気じゃない』という指摘はその通りだ。
いずれはどこかの貴族に嫁がねばならず、特に慕う男性もいない。
王太子妃になれと父が言うのなら、それでもいいと思って王城にやってきたのだが、王太子には苦手意識を持ってしまうのだ。
あの笑顔が眩しくて、明るく濁りのない言葉をかけられたら、自分の心が薄汚く思えてしまうから……。
中央には木目の美しい大きな机が置かれ、壁には書架が並ぶ。
奥には休息のためのテーブルセットが配されて、機能的で上品なしつらえの部屋だった。
父は私を一人掛けの肘掛け椅子に座らせると、「暑いな」と窓を開けにいき、それから私の向かいの長椅子に腰掛けた。
そして早速、本題に入る。
「王太子に気に入られろと言っただろ。乗り気じゃない顔に見えるのは、気のせいか?」
王妃には『なにを考えているのかわからない娘』だと言われ、滅多に感情を表に出すことのない私なのに、父には心の中を読まれているような気がしてならない。
『乗り気じゃない』という指摘はその通りだ。
いずれはどこかの貴族に嫁がねばならず、特に慕う男性もいない。
王太子妃になれと父が言うのなら、それでもいいと思って王城にやってきたのだが、王太子には苦手意識を持ってしまうのだ。
あの笑顔が眩しくて、明るく濁りのない言葉をかけられたら、自分の心が薄汚く思えてしまうから……。