悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
慌てて駆け寄った私に、「少しくらい平気だよ」と答えるも、痛みはあるのか、その笑みはぎこちないものだった。

盾は楕円形をしており、彼の体の半分をすっぽりと覆うほどに大きく、重量も相当だと思われる。

ハラハラと見守る私の前で、彼が盾を取り外して床に置いたら……私たちは揃って「あっ!」と声をあげた。

石壁にはポッカリと、穴が空いていたからだ。


途中まで掘削したという昔の痕跡が、今でもそのままに残されているのだろうか……。

そう思って質問すれば、彼は怪しむような目付きで穴を覗きつつ、「それはない」とはっきり否定した。


「埋め戻したと聞いている。入口も石をはめ込んで、わからないようになっていると。これは、誰かが掘り返した穴だろう」


その誰かというのは王妃で、極秘で使用人に命じて掘らせたということなの?

なんのために……?


口に出さずとも、私たちは同じ疑問を抱いているような気がした。

目を合わせて同時に頷き、並んで穴の奥に目を凝らす。


私の膝丈ほどの高さから開けられた穴は、大人の男性が四つん這いにならなければ進めない大きさだ。

通りやすくはないが、漆喰で塗り固めてあるので、土で服を汚したり、尖った石に引っ掛けて怪我をすることはなさそうである。
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