悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
彼の心の傷を心配し、右手をそっと握れば、青い瞳が私に向けられ、ニッコリと優しく弧を描いた。


「ひと部屋ずつ見て回ろうか。日が高いうちに探索を終えないと」


彼の言う通りだ。まだ正午を過ぎて一時間も経っていないとはいえ、冬の日は早く落ちる。

離宮内で明かりを灯せば見回りの兵に気づかれて、王妃にも知られてしまうかもしれない。急がなければ。


一階には部屋が四つあり、くまなく調べて回ったが、おかしなところは見つけられずに終わった。

ソルベットの花を彫り込んだ可愛らしい手すりの階段を二階へと上って、手前側からひとつずつドアを開けていく。

サンルームと客間がふたつあり、それらの部屋にも王妃の秘密に関するものは見当たらず、残すは最奥のひと部屋になった。


ここまで二時間ほどかけて丁寧に探したのに、収穫なしで終わるのかしら……。

残念に思いつつ、最後のひと部屋の扉を開けようとドアノブを握った私は、「えっ?」と声をあげた。

他の部屋は無施錠だったのに、なぜかこの部屋だけは鍵がかけられている。

「レオン様、開きませんわ」とドアの真ん前を彼に譲れば、彼は腰を屈めて鍵穴を覗き込み、「なるほど」となにかに納得していた。

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