悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「わたくしたちは、このままでお話を聞きます」と王妃に伝え、私は膝立ちした姿勢でレオン様を横から抱きしめて支える。

彼に寄り添う私を見ても、今の王妃は咎めようとしなかった。

「わかりました」と頷いてから、なにかを諦めたような落ち着きのある声で語り出す。

王妃とベイルがかつて、この部屋で密かに逢瀬を重ねていた話をーー。



全ての話を聞き終えるのに、一時間ほどかかっただろうか。

レースのカーテン越しに窓から差し込む日差しは弱まったが、暖炉に火が入ったため、部屋の中は暖かい。

私は変わらぬ姿勢でレオン様を抱きしめていて、彼は私に支えられるようにして床にひざまずき、力を失った瞳に母親を映して静かに呼吸している。


王妃の話からわかったことは三つある。

ひとつは王妃とベイルが、どんなに愛し合っていたのかということだ。


王家に嫁ぐ前の王妃は、とある侯爵家の娘であった。

ベイルはその家の護衛兵であったそうで、ふたりは自然と惹かれ合い、恋仲に。けれど結ばれることは叶わない。

貴族令嬢は家のために結婚するものであり、恋愛感情などは二の次にされてしまうのだから。

王妃が国王の元に嫁ぐとき、その悲しい恋を終わらせたつもりであったそうだが……ベイルが王妃を追いかけて王城兵士となったために、関係を断ち切ることができなくなったという話を聞かされた。

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