悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
王妃が話し終えてしばらくは、誰も口を開かない静かで居心地の悪い時間が続いていた。

数分が過ぎてから、恐る恐る私は王妃に尋ねる。


「その暗殺計画は、王妃殿下もご存知だったのですか……?」


レオン様は母親に嫌われていると言っていたので、もしかしてと思ったのだ。

私の不躾な質問にも怒らない王妃は、ゆっくりと首を横に振る。


「知っていたなら止めたわよ。この命を賭してでも。わたくしは母親としてレオンを愛しています。ベイルも父親としての愛情を感じていたはずよ。だから……剣を振り下ろしても、致命傷には至らなかったのよ。迷いを消せなかったのね、きっと……」


命懸けの恋を打ち明けた王妃の視線は、真っすぐにレオン様に向けられていた。

潤む瞳は切なげに、母親としての慈愛に満ちている。

それを確認して、私の中に残された最後の疑問がやっと解けた。

王妃が十年以上も目を合わせてくれないとレオン様は嘆息していたが、それは嫌っているからではなく、つらかったためであろう。

レオン様を目にするたびに、心は過去の苦しみの中に戻されてしまうのではないだろうか。

二度と会うことのできない愛しき人の面影を、こんなにも色濃く受け継いでいるのだから……。


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