悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私はいたって真剣だ。

「あなたの妃となった後、国王陛下を誘惑いたします」と真面目に訴える。

しかし、「なにを言う。オリビアにそんな不埒なことをさせられるものか!」と厳しい口調で諌められた。

それでも私は詰め寄るように進み出て、主張を曲げずに食い下がる。


「レオン様を失うことに比べれば、小さなことです。王太子妃の務めであると思えば、他の男性に抱かれることにも、きっと耐えられますわ!」

「ああ、オリビア……。君のその覚悟は、少しも嬉しくないよ……」


レオン様は苦悶の表情で頭を振り、深いため息をついた。

そして私を両腕でしっかりと抱きしめ、諭すように耳元で語りかける。


「オリビアは明日にでも実家に帰りなさい。これ以上、俺に関わってはいけない。オルドリッジ公爵なら、君を幸せにできる男を選び直してくれるはずだ」

「そんな……」


私に他の男性に嫁げというの?

こんなにも愛するように仕向けておきながら拒絶するなんて、ひどいわ……。


レオン様の出生の秘密を知ったときよりも大きなショックを受けていた。

谷底に突き落とされたような思いで、目の前が暗くなり、涙さえ出ないほどに心はひどく傷ついている。


レオン様は腕の力を抜いて、少しだけ私から体を離した。

絶望を味わっている私の顔を悲しげに見つめて、ゆっくりと麗しい顔を近づけてくる。

最後の口付けを交わそうとしているのか……。

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