悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「あやつは確かに自慢の息子だが、いつか道を踏み外すかもしれんと、わしは心配もしておる。その時はどうか……オリビア嬢がレオナルドを正しき道に引っ張り戻してやってくれ」


『正しき道』とレオン様と同じことを口にした国王に、私はヒヤリとしていた。

もしやレオン様が自分の子ではないことを、知っているのでは……そんな疑問が湧き、鼓動が嫌な音で高鳴るけれど、国王の言う正しき道とは、血筋のことではなさそうだ。

どういう意味なのかと考えつつ、曖昧に頷けば、国王は手元に視線を戻して、再び釘を打ち始める。


「オリビア嬢、国を統べる者にとって、最も大切なものはなんだと思う?」

「え、ええと……」

「それは民と領土を守ることのできる力だ。血筋などどうでもよい。わしはレオナルドを息子に持ったことを誇りに思う」


その言葉に私は目を見開いて、心臓を跳ねらせた。

森に響く金槌の音よりも、この胸の鼓動が大きく速く耳元で聞こえる。


国王陛下は、なにもかもご存知なのではないかしら……。

もしかしたら、過去にもこの森で小鳥の巣箱を修理していたときに、離宮内を覗いてしまったのかもしれない。

そこで目にしたのは、ベイルに寄り添う王妃の姿であったのだろうか。


よく考えれば、あの肖像画を確かめなくても、レオン様が誰の子であるかは、ベイルを記憶に残している者たちにとっては瞭然だ。

あんなにも似た顔をしているのだから。


国王ももちろんわかっていて、その上で王妃をひと言も責めることなく、レオン様のことも息子として接し続けている。

そんなの、優しすぎるわ……。

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