悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
時刻は二十三時を過ぎていた。
寝間着にガウンを羽織った姿の私は自室にひとり、ベッドに腰掛けて物思いに耽っている。
明日はレオン様に、話し合う時間を作っていただかなくては……。
国王と会話した後、すぐに彼の執務室に向かったのだが、今日は会うことが叶わなかった。
困惑したような顔のグラハムさんが出てきて、レオン様の伝言を私に与える。忙しいから明日にしてくれと言われてしまったのだ。
彼の心中を察すれば、一刻も早く国王の言葉を届けたかったのに、うまくいかないわね。
でも明日こそは……。
日中の激しい動揺は今はもう収まっていて、この胸にあるのは彼を心配する気持ちのみ。
夜明けが早く訪れるのを願いつつ、私はおもむろに立ち上がる。
壁の燭台の火を消し、ドアを施錠してからベッドに入ろうと思ったのだ。
燭台に手を伸ばしたそのとき、ドアが小さくノックされた。
用向きはわからないが、私の部屋のドアを叩くのはいつものメイドしかいないはずで、「どうぞ」と声をかける。
しかし、ドアは開けられずに、もう一度ノックを返された。
私の返事は聞こえなかったのだろうか?と首を傾げつつ、ドアを開けにいったら、グラハムさんが立っていたので私は目を瞬かせた。