悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
王妃の不貞が明るみに出たら、妻の管理もできないのかと、国王は嘲笑され、権威が揺らいでしまうことだろう。

王家の力が弱まれば、国中が動揺し、平和が乱されるものだ。

王都には犯罪が増え、経済にも少なからず悪影響が出る。

この騒動を好機と捉え、謀反を企む貴族が現れたら多くの血が流されるかもしれないし、周辺諸国からの侵略にも注意を払わねばならない。


これは最悪のシナリオだけど、レオン様ならきっとその可能性もあると考えていそうな気がする。

そして彼は模索するのだ。

正しき道に戻すという信念はそのままに、なるべく混乱の少ない解決方法を。

その方法とは……。


レオン様の考えを読もうとしながら、落ち着きなく部屋の中を歩き回っていた。

そうしたら、テーブルの端に置いていた銀製の水差しに手を引っ掛け、倒してしまう。

静かな部屋に金属音が響いて、半分ほど入っていた水がワインレッドの絨毯に流れ落ちた。

濡れた絨毯は赤黒く変色し、まるで血溜まりのようだ。


それを見て、私は青ざめた。

レオン様は自分の命を絶つことで、全てを元に戻そうとしているのではないかと思ったのだ。

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