悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
バラバラになった顔の破片を拾い集めて、接着剤でくっつけた跡が、ヒビのように見えていたのだ。

頬の小さな穴は、そこのカケラだけが見つからなかったということなのだろう。


私にとっては大切な親友でも、他人にすれば買い替えのきく、命のないただの人形だ。

その人形の無数に割れた破片を拾い、繋ぎ合わせて直そうとしてくれる人は、レオン様しかいないのではないだろうか。

彼は、私がどんなにアマーリアを愛して必要としていたのかを、知っているのだから。


夜な夜なこの部屋で、気の遠くなるような修繕作業をしてくれていたのかもしれないと思うと、感謝の気持ちで胸が熱くなった。

そして、尊いその優しさゆえに、自分だけを犠牲にして、国と王家を守ろうとしている彼に、憤りを感じる。


レオン様が行く場所なら、どこへでもついていく覚悟が、この胸にはある。

天国でも地獄でも、どこへでもだ。

私を置いていくなんて、そんなの許さないわよ……。


アマーリアに向けていた微笑みを消して、私は決意に表情を引き締める。


「レオン様の居場所を教えてくれてありがとう。あなたはここで待っていて」


親友に声をかけてテーブル上に戻すと、私は火の入っていない暖炉の横の飾り柱に歩み寄る。
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