イジワル外科医の熱愛ロマンス
私は無言のまま、彼に上目遣いの視線を向けた。


男らしいちょっと太めの眉。
眉根が寄せられ、眉間に二本の皺が刻まれている。


くっきり二重のアーモンド形の目は、わずかに目尻の上がった切れ長。
その目をグッと細めている。


通った鼻筋。
薄く一文字の唇は、いつもは口角がやや上がっているけれど、今はへの字に結ばれている。
わかりやすいほどの不機嫌を、隠さないその表情。


自他共に認めるイケメン好きの美奈ちゃんが、『目の保養』と言うくらいだ。
不機嫌に顔を歪めていても、祐は相変わらず綺麗で精悍な顔立ちをしている。


その綺麗な顔を至近距離で見ているとドキドキしそうになるから、私はさっきよりも大きく顔を背けた。


「仰る通り、婚約は破棄したんですから。むしろ、余所余所しいくらいでいいんじゃないでしょうか」


意識して感情を抑えながら言い返すと、頭上で「はあ」と小さな溜め息が聞こえた。


「お前が一方的に根回しして、破棄しただけだろ」


そう言われて、私は目線を自分のパンプスの爪先に落とした。


「もともと、家同士の事情の為でしかなかった婚約。勝手に決めた権力者の祖父さんが亡くなって、もう続ける必要もない……ってのはわかるけど。こっちの言い分も聞かずに。どこまで自分勝手なんだよ」
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