たった一度のモテ期なら。


「しょうがないから、また彼女作る」とあの時謎の解決策を思いついた西山は、次の週明けには本当に彼女ができていた。飲み会で気に入った子らしかった。

「彼女できたんだ、ごめんね」と断った彼に、後輩の子はごねつつもやがて諦めたらしい。

「諦めたっていうか呆れたんじゃないの? 西山の恋愛観てなんか歪んでる」

と綾香は結構辛辣だった。

「好みじゃないとか迷惑とか普通に言えばいいでしょ。社内じゃなけりゃ誰でもいいわけ?」

「西山は優しいから、人の好意を踏みにじるような断り方ができないんじゃないかな」

私のフォローにも冷たい目線が帰ってきた。

「奈緒はあいつに甘すぎ。どうせすぐ別れるよ」

綾香の予言は、1年経たずに現実になった。忙しくて連絡してなかったら振られたんだと言っていた。そのまま仕事が忙しいからか新しい彼女もいないみたい。

だからどうってこともない。私達は仲間であり、彼氏彼女がいてもいなくても今まで通りの関係が続くだけだから。

< 30 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop