記憶を失くした総長

成「…そうだね。」

実際、災難だったとは全く思っていない。
ただ彼女がこれを覚えてはいないと思うととても残念だ。

拓「___飲んでねぇ奴いねぇ?玲運びたいんだけど。」

各自が再び飲み始めた頃、拓先が大声で皆に聞く。
みんな飲んでいるようで拓先は返答に肩を落とした。

拓「…しょうがねぇな……あいつ呼ぶか。玲、スマホ借りんぞー。」

一応聞くものの返事があるはずもなく麗華のカバンからそれを取り出すとぱぱっとロックを解除しどこかに掛ける。

拓「あ、もしもしー?
__あぁ!?おじさんじゃねぇ、おにーさんと呼べと言ってんだろ!


あ、まだ何も言ってねぇから切るな!」

そうか32歳はおじさんなのか、覚えとこう。
電話の相手は麗華でないため不満のようで話がなかなか進まない。

拓先はため息をつくと

拓「玲が酔っちまって、誰も連れて帰れないからお前に頼んだのになぁ。」

その言葉で電話の相手はこちらに聞こえるほど大きな声で先に言えと叫ぶ。

拓「あぁ、わりーわりー。
並びの焼肉屋だから。早く来いよー。

あ、車でよろしくな。」

俺はいつ来るかわからない迎えを待っている間、麗華を抱えておく訳にも行かないので近くのソファーベッドに寝かせておいた。
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