寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「では、そろそろ始めさせていただきます」


風見さんの隣に座った牧田さんがノートパソコンを操作し始めた。
プロジェクターに映し出されたのは、ミヤコの経営効率に関する指標だ。


「この指標を見る限り、足立社長の経営体制は不合格と言えます」


いきなり風見さんから先制パンチが飛び、これには足立社長も面食らったようだ。


「企業経営が上手に行われているかを判断する材料のひとつに、ROAがあります。すなわち総資本経常利益率です」


持ってきていた流通業の基本用語集を慌てて開くと、ROAとは年経常利益高を総資本で除して求めた数値とあった。


「ROAのあるべき数値は十%です。これが十%未満ならば、収益力がない企業という評価が下されます。御社の直近のそれは九%。つまり収益性がないということになります」

「うちの経理部長からそんな報告は受けていないんだが」


足立社長が眉間に皺を寄せる。

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