寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
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ミヤコをあとにした私たちは、再び寺内さんの運転する車に乗っていた。
同行していた牧田さんは、このあと別のクライアントのところへ行かねばならず、別行動となった。
初めての会社訪問でなんとなく気疲れしてしまったのか、膝の上にのせた資料は最初のページで止まったまま、私は真剣な表情でタブレットを操作している風見さんをぼんやりと見ていた。
よほど集中しているのか、風見さんは身じろぎひとつせずに手元に視線を注いでいる。
その熱心な眼差しが仕事ではなく、私ではない別の女性に対して向けられる場面を想像して、なんだか落ち着かなくなった。
恋人とはいえ、私はお試し。風見さんに本当の恋人ができればさよならだ。
好きになって泣きを見るのは私だから気をつけよう。
気を取り直して、ついさっきのミヤコでのコンサルティングの内容を自分なりに補足したノートを広げる。
風見さんのコンサルティングを見て、社長室の掃除や片づけだけじゃなく、仕事面で少しでもサポートできるようになりたいと思い始めていた。
もちろん私では力不足なのは十分承知しているけれど、せめて知識だけでも広げておきたい。
そうして集中してノートを見返していると、ふと向かいから風見さんの視線を感じて顔を上げる。