寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「駅中や駅ビルへの出店は、保証金が莫大なんだよ。坪あたり三百万円を超える。それは通常の出店の十倍以上にもなる」


わかったようなわからないような。
お客さんがたくさん来店すればいいってものじゃないの?
自分のノートをじっと見つめる。


「同じ金額で十店舗造れる店が、駅中や駅ビルだと一店舗しか造れない。安易に集客予想の魅力に目を奪われて、投資をかけすぎるなってことだ」

「……なるほど。そういうことなんですね」


十店舗分の投資が一店舗に掛かってしまうのか。

顔を上げてパッと横を見る。するとあまりにも近くに風見さんの顔があり、ドキンと心臓が音を立てる。
綺麗な顔立ちに一瞬見入り、即座に目を逸らす。
ゆっくりと前を向き、平静を装った。
風見さんが隣で微笑む気配がして、それから彼は再びタブレットを操作し始めた。


かすかな振動にハッとして目を開ける。
車のシートが視界に入りミヤコの帰りだと思い出したのと同時に、左半身に人の体温を感じた。
それが風見さんだとすぐに気づき、勢いよく体を起こす。

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