寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「奪いたい衝動を押さえようと俺が必死になっていることを知らないだろう」
「えっ……」
唇をなぞっていた指が私の顎に添えられ、そっと持ち上げられた。
ドキドキと高鳴っていく鼓動。
息を止めて甘い眼差しを注ぐ風見さんを見つめる。
少しずつ唇が近づいていき、ゆっくりと瞼を閉じたときだった。
社長室に内線電話が鳴り響き、驚いて風見さんからパッと離れる。
多分、九時半のお客様が来社したという受付からの電話だろう。
「出るといい」
風見さんに言われ、速まる心拍数にストップをかけられないまま慌てて受話器を取る。
電話応対しながら見た彼は、さっきまでの甘い表情のいっさいを消し去り、ものの数秒で仕事モードに切り替えていた。