寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

◇◇◇

午前の来客を滞りなく済ませ、十二時を迎えた。
最初の頃こそ風見さんとふたり分のお弁当を作っていたが、彼は外に出ることも多く、前もって社内で食べることがわかっているときだけ作ることになっている。
今日は取締役たちと外食だ。

お弁当を持参してロッカールーム隣の休憩室へと向かうと、すぐに沙智さんも合流した。
社員食堂派だった沙智さんは、私と一緒に食べたいからとお弁当を持参するようになり、すっかりふたりでのランチが定番になっている。

四人掛けの丸テーブルに沙智さんと隣り合って座り、お弁当を広げながらぼんやりと考えるのは、今朝寸止めになったキスのことだった。
鼓動の高鳴りが最高潮になったところで止められたせいか、そのあとも私の胸は早鐘のまま。それが通常モードになるまでには、かなりの時間がかかってしまった。

そうして収まっても、風見さんの顔を見るたびに再び寸止めのキスを思い出してしまうから始末が悪い。
風見さんが私にキスをしたくて我慢しているだなんて言われたことも影響しているだろう。

あの風見さんが衝動を必死に押さえるなんて……。

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