寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「茜、なにかあったの? なんか様子が変だけど」
沙智さんにいきなり顔を覗きこまれてギクッとする。
「……な、なにもないです」
慌てて否定したものの、「そう? なんかおかしいわよ?」と沙智さんが疑りの目を向ける。
知り合って間もない沙智さんに簡単に見透かされるとは、私の内面は外にダダ漏れのようだ。
風見さんと未遂になったキスを思い出していただなんて、とてもじゃないけれど沙智さんには言えない。
「仕事のことでなにか悩んでいるんだったら、なんでも話してね。私でよかったらいつでも聞くから」
「ありがとうございます……」
沙智さんの優しさが胸に染みる。
彼女に嘘を吐いていることが心苦しかった。
「あの……」
不意に隣の女子社員から声をかけられ、顔を向けてみれば四人の視線が一斉に私に注がれている。