寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
どうしたらいいのかわからず声も出せずにいると、突然私のうしろから「おい」と低い声が聞こえた。
声のしたほうを見てみれば、そこにいたのは険しい形相をした風見さんだった。
眉間に深く皺を刻み込み、眉は見たこともないほど吊り上がっている。
「か、風見さん……!」
「私の秘書に気安く近寄るんじゃない。その手を離せ」
静かながらも恫喝するような声だった。
次の瞬間、私の手が解放され、本田さんがサッと身を引く。
風見さんは手を伸ばし、私を自分のうしろへと庇うようにした。
「どういった用件だ。私が代わりに聞こう」
「……いえ、大丈夫です」
淡々とした口調がかえって迫力を感じさせる。
大柄な警備員でもひれ伏してしまうほどの圧力を感じるのだろう。
本田さんはじりじりと後ずさりながら、私たちとの距離を空けていく。
「今後、彼女に用事があるときは私を通しなさい」