寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「なにかほしいものは?」
「本当に大丈夫ですから」
「それじゃ俺の気が済まない」
風見さんは眉間に皺を寄せていた。
これはきっと私がなにか答えなければ許してくれないだろう。
「じゃあ今度、おいしいケーキを買って来てください」
一番お願いしやすくて手っ取り早いことを提案した。
「わかった」
風見さんの顔にようやく笑みが戻る。
話はついたし、バラをなんとかしなくちゃ。
「花瓶はありますか? バラを――」
立ち上がりかけたところで彼に手を掴まれた。そのまま引き寄せられ、彼の胸に飛び込む格好になる。
風見さんの香りに包まれて、心臓が早鐘を打っていく。
ゆっくりとソファに体が倒され、両手を突いた風見さんが私を見下ろす。