寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

その四つとも、理玖さんにはおそらく備わっているだろう。
どこをどう見てもいいところしか見えなくなっている自分に気づいて、完全に彼に落ちていることを悟った。


「はい、オッケーでーす!」


収録が終わると同時に、風見さんが肩を上下させて息を吐く。
隣に座っていた女性アナウンサーは紅潮した頬で理玖さんに握手を求め、その場から去ろうとする彼のあとを追ってきた。


「あの、風見さん、私の名刺です」


胸元から出した名刺を彼に差し出す。


「ありがとうございます」


それを笑顔で受け取ると、女性アナウンサーの顔がパッと華やぐ。


「もしよろしかったら、このあとお食事でも」


すっかり理玖さんのことを気に入ってしまったのか、彼女がデートに誘い始めた。

理玖さん、行くのかな……。美人アナからの誘いだから、きっと行くだろうな。

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