寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
ここへ来るまでの間、相手が社長だけに沙智さんには話さないほうがいいかもしれないと何度も悩んだ。
でも、それももう限界。ひとりの胸にずっと秘めていた想いを誰かに聞いてほしくてたまらなかった。
「実は……」
これまでに私の身に起きたことをひとつずつ沙智さんに聞いてもらった。
なにか悩んでいるだろうと思っていた沙智さんは、まさかそこに社長の名前があがるとは思っていなかったらしい。
彼のマンションに住まわせてもらっていたことを話したときには、驚きに布団を蹴飛ばし、私に自信をつけさせるためにお試しの恋人になったと話したときには、悲鳴に近い声をあげ、さらに肌を重ねてしまったことを白状すると、ベッドから私のいる布団に落ちてきた。
「そんなところに恋人だって女性が現れたら、傷ついて当然だよね……」
しばらく放心状態でいた沙智さんが私の腕をぎゅっと掴む。
「不釣り合いだって最初からわかっていたんです。でもつい浮かれて、いつの間にか期待していました」