寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
理玖さんと何度も交わしたキスを思い出したせいで頬が熱くなる。
「……でも私たちはお試しで、いつか返品されるって」
「返品などするつもりはない。それとも、茜はそうしたいのか」
懸命に首を横に振った。
理玖さんに埋め尽くされた心は今さらほかの人で置き換えることなんかできない。
「いいか、茜」
理玖さんが運転席から助手席へ身を乗り出す。
「茜は俺だけを見てろ。ほかのことに惑わされるな」
熱烈な眼差しに心が惑う。
「俺から目を逸らすな」
信じられない展開に鼓動が急速に高鳴っていく。
理玖さんが手を伸ばし私を引き寄せる。
「わかったな、茜」