寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
午前四時。アラームがピピピと鳴り始めたが、外はまだ真っ暗だ。
でも今日は月曜日、仕事に行かなければならず、午前十時には来客の予定も入っている。
帰ってから着替えもしなくてはならないし、ここから三時間は見ておかないと間に合わないだろう。
「理玖さん、起きてください」
横になったまま肩を揺すると、寝ぼけたように「茜」とかすれた声で囁き私を引き寄せた。
「理玖さん」
もう一度声をかけると、理玖さんの目がゆっくりと片方ずつ開けられる。
「間に合わなくなりますから起きてください」
「……いや、もう少しだけ」
そう言って理玖さんが私をさらに抱き寄せる。
夜明けはもう少し先。カーテンの向こうの街もまだ眠っている。
でも真っ暗闇だった私の心には、眩しいほどの光が差し込んでいた。