寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
その日、会社にはなんとかギリギリ間に合った。
あのあとふたりで一緒にシャワーを浴び、私たちは高速を飛ばして理玖さんのマンションへ戻った。
大急ぎで着替えて、理玖さんと一緒に寺内さんの運転する車へと乗り込む。
理玖さんは私の肩を抱き、時折髪や頬にキスを落とした。
いつになく甘すぎる彼に私は翻弄され通し。
ここまで溶かされてしまった心を瞬時に切り替えることはきっと私には無理。
会社の前でみんなの目にさらされて、何食わぬ顔をして歩く自信がなく、少し離れたところで降ろしてもらおうとしたけれど彼に断られてしまった。
「なにを隠す必要がある」
そう言われて困る反面、心がウキウキする。
車を降りる直前、理玖さんは私に軽く口づけ、「よし、気持ちを切り替えるぞ」と華麗に降り立った。
私はというと、そんな姿にドキドキさせられて、予測どおり即仕事モードというわけにはいかなかった。
弾む気持ちをなんとか落ち着け、ロッカールームで荷物を置いて社長室へ向かった私は、ドアを開けたところで動けなくなる。
中にエイミーさんがいたのだ。