寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
理玖さんがそう言うなり、エイミーさんの視線が私へと注がれる。
大きくて真っ直ぐな瞳には太刀打ちできないような気がして、咄嗟に目を逸らした。
「……アカネが? アカネが理玖の大切な人なの? 本当に?」
疑うのも無理はないだろう。
エイミーさんのほうが私より何倍も何十倍も綺麗だし、理玖さんには似合っている。
それなのにどうして?と言いたいのだろう。
「そうだ。茜は俺が今、大切にしている女性だ」
きっぱりと言われて胸が高鳴る。
エイミーさんがなにかを探るかのように目を細めて私たちを見た。
「信じられないのか」
理玖さんが聞くと、エイミーさんが「ええ、そうね」と頷く。
「これでも?」
理玖さんはそう言うなり私の肩を掴んで体を自分へと向かせると、私の腰をぐいと引き寄せ、顎を持ち上げて私の唇を塞いだ。
それは本当に一瞬のことだった。