寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「いいから、早くアメリカへ帰れ」
不満そうに唇を尖らせながらエイミーさんはようやく社長室から出て行くと、入れ違いに琢磨さんが入って来た。
「修羅場は終わった?」
琢磨さんがからかう。
エイミーさんがこの部屋にいたことを知っていたような口ぶりだ。
「残念ながら、お前が期待するような事態にはなってない」
「朝、彼女がビルの前でうろうろしていたから、兄貴の大切なお客様と思ってお連れしたんだけどね」
琢磨さんがエイミーさんをここへ連れて来たのだ。
「琢磨がなにを企んでいるのか知らないが、あまり余計なことをするようなら俺にも考えがあるぞ」
「余計なことをしているつもりはないんだけどね。俺はただ、茜ちゃんに興味があるってだけ」
琢磨さんは「また食事に行こうね、茜ちゃん」と私に矛先を変える。