寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
その間に理玖さんは割って入った。
「残念だが、それは却下だ」
「どうして。茜ちゃんが誰と食事をしようが兄貴が口出しをすることじゃないと思うんだけど」
「茜が行きたいというのなら、もちろんそれを止めはしないが、琢磨、お前だけはダメだ」
琢磨さんの眉がピクリと動く。
「琢磨は見境がなさすぎる」
「随分な言われようじゃないか。そういえば茜ちゃんにもいろいろ言われたっけな」
琢磨さんが理玖さんを避けるようにして私に顔を見せる。
「……ごめんなさい」
それに関しては謝らなければならない。
「とにかく、彼女にはこれ以上近づくな」
「恋人でもないのにそんなこと言う?」
「それは残念だったな。茜には手出し無用だ」
理玖さんが涼しい顔をして言うと、琢磨さんはポカンと口を開けて固まってしまった。
「とにかくそういうことだ。来客があるから、とっとと出て行け」
エイミーさんにしたように、理玖さんは今度は琢磨さんの背中をずんずん押した。