寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「そうおっしゃられても困ります」


私こそ困る。


「こんな格好じゃ恥ずかしくて無理です……」


唇を噛み締めていると、寺内さんは「それならご心配には及びません」と口元を綻ばせた。


「すべてご用意させていただいておりますので」


いったいなにを用意しているというのか。


「さぁどうぞ」


にこやかにそう言われても途方に暮れるばかり。


「いえ、やっぱり帰ります」


そう拒絶してみたものの寺内さんは頑なに譲ってはくれず、結局言われるままに車を下ろされてしまった。

すでに私の話は通っているのか、ベルパーソンから別の女性スタッフへと引き渡された私は、控室のようなところに通された。

< 23 / 318 >

この作品をシェア

pagetop