寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「やっぱり本当なんですね」
私が黙り込んだせいで、彼女たちの顔が曇る。
「あ、いえ、違うんです」
慌てて訂正した。
「違う? 結婚しないってことですか?」
「はい」
強く頷いてから、「私たちはそんな関係じゃないです」と続けると、三人そろって「“私”?」と今度は首を傾げた。
「あの、水城さんとじゃなくて」
「……え?」
ポカンとして、最初に聞かれたセリフを思い返す。
言われてみれば、『社長“と”』ではなく『社長“が”結婚する』と言っていた気がする。
つまり私と理玖さんではなく、別の女性との結婚ということだ。
いったいどういうことだろう。
「社長とクライアントのお嬢さんとの結婚話が進んでるって聞いたもので」