寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「……クライアントのお嬢さん、ですか?」


そのままそっくり聞き返すと、三人は「ね」と頷き合った。


「社長と綺麗な女性がふたりで一緒にいるところを見た人がいて」

「……それはいつですか?」

「一昨日だったかな」


一昨日だったら、理玖さんは足立社長と会っていたはずだ。
たまたま近くにいた関係のない女性と勘違いしてしまったのかもしれない。
それに理玖さんからはなにも聞いていないから、きっとなにかの間違いだろう。


「一昨日は、男性の方とお会いしているはずなので違うと思いますし、そんな話は伺っていないです」


そう返すと、「おかしいね。ただの噂話なのかな」と口々に言い合いながら、「わかりましたー」と三人は私を置いて先にロッカールームを出ていった。

結婚の話はないと言い切ったものの、どことなく釈然としないまま社長室へと向かう。
少ししてから理玖さんは「おはよう」と、本日二度目の挨拶をしながら入ってきた。

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