寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「おはようございます」


コーヒーを入れようと、コーヒーメーカーのスイッチを押す。
ポタポタとコーヒーが垂れるのをぼんやり見ながら、さっき聞いた話を思い返していた。

彼女たちは『クライアントのお嬢さん』と言っていたけど、それがもしもミヤコの足立社長のお嬢さんだったら?
足立社長からの電話連絡を何度となく避けていたのは、もしかしてそういった事情のせい?
足立社長が社長室に押しかけて来たことがあったけれど、あれは仕事の話じゃなく、お嬢さんとの結婚話が思うように進まなかったことで痺れを切らせて来たのでは……。

そう考えると辻褄が合ってしまう。


「あの、理玖さん」


悶々と悩んでいるより聞いてしまったほうが早い。
コーヒーを出しながら声をかけた。


「社内に、理玖さんが結婚するという話が流れているみたいです」

「……結婚?」


理玖さんの眉毛がぴくりと動く。

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