寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
案内された個室のテーブルには、今朝私のアパートから忙しなく出ていった男の人が着いていた。私が到着したことを受けてスマートに立ち上がる。
「突然こんなところへ呼び出して悪かったね」
「いえ、あの、お礼なんていいですってお断りしようとして来たつもりが……」
なんだかこんなことになってしまった。
「ぴったりだ、似合ってる」
唐突に男性に言われて、頬がカーッと熱を持つ。
「……こんな素敵なお洋服、すみません。あの、お支払いしますので」
いったいいくらなのか見当もつかないけれど、分割でなんとか払っていくしかないだろう。
「そんな必要はない。俺が勝手にしていることだ」
「ですが」
「とにかく座って」