寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

男性がエスコートするように私を椅子に座らせる。
こんな洋服も初めてなら、こんなレストランも初めて。緊張で体がカチコチになる。
目の前に座る彼は自信に満ち溢れて、その圧倒的なオーラに飲み込まれてしまいそう。


「名前は、今朝渡した名刺でわかっているとは思うけど」

「……風見さん、ですよね?」


名刺はテーブルに置き去りだし見てもいないけれど、寺内さんやホテルのスタッフがそう呼んでいたから。


「そう。風見理玖。キミは?」

「あ、はい、私は水城茜と申します」


私が軽く頭を下げると、風見さんは「茜さんか」と呟いた。


「オリオンコミュニケーションズという会社で一応社長を――」

「――え!? オリオンコミュニケーションズ!?」


つい風見さんを遮って声を上げてしまった。


「知ってる?」

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