寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「それはひとり分?」

「……そう、ですね」


私がそう答えると、風見さんはポケットを探り黒い財布を取り出し、私に突き出す。


「……はい?」


なんのことだかわからず、ポカンと風見さんを見上げる。


「社員食堂が二十五階にあるから、これでなにか買って来て食べるといい」

「え? ですが私はお弁当――」

「その弁当は俺が食べる」


風見さんが私の言葉を遮った。


「風見さんがお弁当を……?」

「外で食べるより茜の弁当のほうがうまいからな」


ストレートに言われて顔が熱くなる。
そう言われれば拒絶はできない。
それに何度も言うようだけど、そもそもそのお弁当の材料は風見さんのお金だ。

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