寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「ありがとうございます。ではロッカールームからお弁当を持ってくるので、ちょっとお待ちください」
「ついでに社員食堂でなにか買って来いよ」
背中にかけられた風見さんの声に「はい」と答えながら、社長室を出た。
ロッカールームからお弁当と財布を取り、社員食堂へと急ぐ。
風見さんから財布を預かってしまったけれど、やはりそこからお金を出すことは躊躇してしまう。金銭面では普段から風見さんのお世話になりっぱなしだから。
社員食堂は十階のロッカールームの先にあり、すでにたくさんの人がトレーを持って並んでいる。
その中に田丸さんの姿を見つけて会釈をすると、「一緒に食べましょうか」と誘われてしまった。
お弁当を持っていることと風見さんの分の買い出しを頼まれたことを伝え、お弁当バッグと風見さんの財布を見せると、すんなりと引き下がってくれた。
列に並んでおにぎりとサンドイッチを購入し、急いで社長室へと戻ると、風見さんはなんと、ふたり分のお茶を入れて待っていてくれた。
そんなことをされるとは思いもせず目を丸くすると、風見さんが「なんだ」と鋭く私を見る。
「あ、いえ、お待たせしました」