寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

奥の部屋にあるソファセットに腰を下ろし、お弁当のふたを開けて風見さんの前へ置いた。


「大したものは入れていないですし、量も少ないんですが……」


今日のお弁当は、肉と玉ねぎの味噌炒めに厚焼き玉子、かぼちゃの煮物の三品だけ。
味噌炒めは味付けした上で小分けして冷凍保存したものを炒めただけ。かぼちゃの煮物は昨夜の残り物だし、調理時間は十分足らず。


「足りなければ、あとでなにかつまめばいい。……自分で払ったのか?」


風見さんの視線が私の財布に注がれる。
あっさりと見抜かれてしまった。


「はい、私が食べるものなので。お財布、お返しします」

「ここから出せと言っただろ」


私が差し出した財布を受け取りながら風見さんが訝る。


「さんざんお金を出していただいていますから、このくらいは」


おにぎりのフィルムを剥がしながら答えた。

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